この曲について

― 折鶴の歌 ―

広島市内の平和記念公園にある原爆の子の像や動員学徒慰霊塔などのまわりには、いつも色とりどりの千羽鶴がささげられています。子供たちによって一所懸命折られた沢山のこの折鶴には、子供たちの平和を願う純真な心が込められています。

けれども、私には、原爆で亡くなった人々の霊が折鶴に化身し、平和の使者として、何かを訴えているように思えるのでした。

歌詞の中で、折鶴は

「私たちは、紙で折られた鶴ですから、空を飛ぶことはできません。ですが、あなたが亡くなった人のため流された涙の温もりで、胸が温められてよみがえり、あなたの一心不乱の祈りに感動して、羽ばたくことができるようになりました。

私たちは、世界中のみんなと仲良しになるため、みんなのところへ飛んで行って、歌い、平和がいつまでも続くよう祈っているのです。」

と、歌います。

この歌は、メルヘンチックで、優美な感じのする抒情歌といえます。

しかし、圧巻は、何といってもフィナーレで、沢山の折鶴が一斉に飛び立ち滑空する情景が目に浮かびますが、これは、大変魅力的で迫力が感じられます。

原爆の惨禍を体験した私たちには、この悲劇を二度とくりかえさないために、この厳しい体験を通して、平和の尊さを世界に訴え続ける使命があると思います。世界中のみんながこぞって、この歌の中の一羽の折鶴となって、平和の心を育み、行動を起こし、祈るようになれば、恒久平和も決して夢ではありますまい。

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