この曲について

― にんげんをかえせ ―

この歌の歌詞は、昭和26年(1951年)に発行された原爆詩集として載っている峠 三吉氏(1917~1953)の余りにも有名な詩です。

見渡す限り、廃墟と化した原爆の焼け跡で、拾い集めた白骨の入った骨壷をかかえ天涯孤独になった人が、声をあげて泣き叫び、その場にくずおれるような…、そんな情景を思わせる悲痛きわまりない歌です。何度もくりかえし「かえせ、かえせ…」と訴える悲痛な叫びは、私たちの胸を激しくゆさぶらずには、おきません。

しかし、この深い悲しみは、やがて、平和への強い願望となって力強く展開され、最後は、亡くなった人々の冥福や、永遠の平和を祈りつつ、静かに曲を閉じます。

かけがえのない人の命――、それを礎として築いた平和の尊さを、世に訴える、正に、迫真の歌といえましょう。

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